糞害による汚れや物音による騒音被害といった、コウモリから直接受ける被害は比較的想像しやすいものですが、その被害が間接的であっても、時に私達の想像もし得ないようなトラブルに発展することがあります。中でも代表的なものは、ご近所の方との間に発生するトラブルです。特に、マンションや団地といった賃貸の共同住宅に住んでいる方は、他世帯と生活圏が共通しますので、1つの世帯で発生したコウモリ被害がご近所一帯に広がって、トラブルを大きくすることが危惧されます。
コウモリは野生動物ですが、万が一自分の専有部分に住み着いてしまった場合は、その時その時できちんと対処しておかないと、後になって責任を追求されてしまうこともあります。思いとは裏腹に、損害賠償や業務停止命令が出る事態になることもありますので、事が大きくなる前に対処しておくのが理想的です。
とはいえ、実際どんなトラブルが起きるのか想像出来ない方も多いと思います。ここからは、事例を参考にどのような問題が起きるのか?どのように対処すればいいのか?について解説していきます。
事例1
被害:マンションのベランダに住み着いたコウモリがベランダに糞尿をしてしまい、ニオイ移り等の被害が出て近隣の住人からクレームが来てしまった。
対策:コウモリはわずか1.5cmの狭い隙間にも入り込む習性があります。普通に暮らしていては気づかない事もありますので、コウモリの住処の対象となりそうな物の撤去と、棲み着いた兆候が出ていないか、定期的な観察をご提案しました。
事例2
被害:マンションの非常階段にコウモリが棲み着いてしまったが、誰も処理せず放置されてた結果、糞害などの被害がどんどん拡大している。
対策:管理責任者がコウモリの侵入に気づいていない場合もありますので、共有部分にコウモリが棲み着いていると思われるならば、すぐに管理責任者に連絡し、適切な処理をしてもらうことをお勧めします。
事例3
被害:近所の敷地内にコウモリが棲み着いているのに、一向に対策される気配がなかったので、敷地に勝手に入って追い払ったら住人に怒られた。
対策:例え駆除するためでも、他人の敷地内に入るのはいけません。対象の住人に現状を伝える、市役所・区役所などの自治体に相談してみるなどの方法をご提案しました。
事例4
被害:暫く空きとなっている隣部屋の換気口からコウモリ出入りするのを見かけた。最近周囲にゴキブリなどの害虫が増えた気がする。
対策:外壁にある換気口は不備があっても気付きにくいものです。まして住人がいない部屋となれば、コウモリが室内に侵入して巣にしている可能性があります。コウモリの周りには様々な害虫も集まってきますので、すぐに管理責任者に連絡して空き部屋の点検をしてもらうようご提案しました。
このように、コウモリによる影響は直接的なものばかりでなく、周囲の人を巻き込んだトラブルにまで発展することがあります。様々なケースがありますので、特定の方法ではなく、状況に応じて適切な判断をしていくことが大切です。自分だけでは判断に迷う状況も出てくると思いますので、まずは賃貸を管理している責任者や関係者と話し合いの場を持つこと、更に駆除ということになれば、経験豊富な業者の力を借りるのも方法の一つでしょう。問題を後回しにすることで事態が悪化することもありますので、何か異変を感じた時には早めに行動することをお勧めします。